【3杯目】凄い女上司のおはなし その①
今回はホストを辞めてからのお話。
実は現役時代も相当しんどかったけれど、辞めてからの方がもっとしんどかったっていう...。
辞めたホストの末路
水商売を辞めてから僕は様々な職に就きました。
もちろん学歴なんてものは持ち合わせておらず、できる仕事は限られていましたが、1番楽しかったのは、不動産の営業です。
ちなみに、水商売を辞めた人で不動産の営業マンになる人多いです。
やっぱり実力でのし上がる的なシステムが好きなんだろうな(適当)
不動産の営業にも色々あるのですが、僕は家や土地の売買を専門に扱っていました。
なぜ売買専門なのか
なぜ売買にこだわったのかというと、誰かの人生の記憶に残る人間でいたいと思っていたから。
マイホームの購入なんて一生に1度あるかないか。
そんな重要な場面を任せてもらえるなんて、なんて素敵な仕事なんだと。
絶対に不動産の営業マンになると決めた。
なにがわからないのかわからない
そもそも水商売とコンビニのバイトしかしたことのない僕には就職する方法が解らない。
履歴書はわかるけれど...しょくむけいれきしょ…?職務???
スマホなんて便利なものはない。調べようにもどうやって調べればよいのかがわかりませんでした。
職安というものがあるらしいので、とりあえず職安に行ってみる。
職安の受付のおじさんに聞こう。
「就職したいのですが、しょくむけいれきしょってどこでもらえるんですか?」
「もらうものではないですね。履歴書と同じように自分の職についての経験を書くものです。」
なるほど!なんて優しいおじさん。
書き方も教えてもらって完成した職務経歴書には
[新宿区歌舞伎町club〇〇にてNo2の売上を達成]
と堂々と書かれていました。
むしろそれしかない。このカードで戦うしかなかったんです。
面接まで手配してくれた職安の人には感謝しつつ、早速面接に行くのですが、スーツがない。
いやあるのだけれど。
ギラギラしてシュッとしたスーツしかない。
靴もない。
いやあるのだけれど。
ツンツンのトンガリでテラテラ光るやつしかない。
とりあえずスーツは1番テラテラしていないお気に入りの
ジョンローレンスサリバン
靴は安いものを買おう。
この時完全に忘れていました。
髪の毛が長いことを。
そもそも髪を切るという発想もありませんでした。なんせ常識がないので。
ロン毛で挑む面接。
人はあまりにもドン引きすると逆に笑顔になる
面接当日僕は30分も早く会社に着いてしまい、ひたすらイメトレしながら待っていました。
話す事には自信があったので、正直楽勝だなって。
受付の女性に案内されて、社長がいるという会議室らしき部屋に入る。
もちろんノックはしない、知らない。
社長らしき人物が( ゚Д゚)←こんな顏で僕を見て一言。
「入るときはノックせい。」
初見で怒られちゃいました。
でもここは百戦錬磨な僕なので余裕で
「ですよね!僕もそう思ってました!!!ノックしてきます!」
と余裕の笑顔。
「もうええで座りや?」
「…はい、すません(すみませんの意)」
そんなこんなで面接が始まり、まー喋る喋る、ひたすらしゃべるんんですよ、僕が。もう必死。
でも優しく聞いてくれて、まるで子供を見るような目で僕のことを見てくる社長が嬉しくて、まー喋る。呼吸忘れたんじゃないかってくらい喋っていた覚えがあります。
これは今よくよく考えると社長完全に引いてましたね。
人はドン引きすると逆に笑顔になるんですね。
面接の結果は…?
僕の中で合格を確信していた面接はもちろん(?)合格ですぐにきても良いよ、とのこと。
20代半ばにして初めての社会人。
もちろんスーツはジョンローレンスサリバン。
靴もたまにトンガリます。
歌舞伎町ナンバー2の男は不動産業界でもナンバー2を取る事ができるのか。
続きます。