【4杯目】ズレる価値観のお話。
水商売で働いていて本当に怖いのは、危険な人と関わることでもなく、お金の価値観がずれてしまうことでもなく。
自分を見失ってしまうことです。
SNSでもそうですが、実際の自分とは離れた自分を演じ続けることで本当の自分を見失ってしまうことがあります。
様々なお客様が来店されて、色々なことを求められます。
一緒に楽しく飲める空間、空虚な恋愛ごっこ、一晩限りの寂しさを埋める肉体関係などなど。
お客様が求めることが自分の価値観と違う場合であっても、求めるものに答えることがプロである1つの要素であるのであれば、全ての人を満足させるには自分の価値観なんてものは捨てなければいけない時がきますよね。
でも実は、お客様も自分を見失ってしまい、自分の居場所を求めている一人でありその穴を埋めるお仕事でもあります。
人は常に自分の居場所を求めている。
夜の世界から離れてしばらく経ちますが、昼のお仕事をしている人達を見ていつも感じることの1つでもあります。
多分人間一番怖いのは自分の存在が否定されることで、自分の居場所を失うことなんだろうなと。
商売の基本と言われている「人間の弱み」を利用すること。
まさにその基本を極限まで高めたものが水商売とも言えますね。
話を戻しますが、自分を失うことは非常に簡単で、夜の世界でしばらく働いていれば皆その壁に当たります。
もっと簡単な話にすると、お客様の求めるホストを演じている内に自分自身の本当の気持ちや感情なんてものが邪魔になるときが来るんです。
でも、これって普通に働きながら生きていれば誰しもが経験しますよね。
自分を見失ってしまうと、作られた価値観の上で生きていくことを選択してしまいがちです。
例えば、SNSで誰かが吐く綺麗な言葉や、会社が常識として押し付けてくるルール、自分の立場で…例えば大人であればこうするべきといったルールや形に依存するしかなくなってしまいます。
そうなると、自分の人生が空虚なものになってしまい、他人の意見に左右されるしかなくなってしまいます。
自分ひとりで生きているわけではないので、もちろん当たり前なのですがルール通りにしか動けないロボットではいつか虚しくなりますね。
そうやって本来の自分を見失って、自分で自分の命を絶つという選択をしてしまう人が夜の世界にはとても沢山います。
多額のお金を得るための代償と言えば聞こえは良いですが、どこかで虚しい自分に気づいていても、お金では手に入らないと気づいていても、夜の世界に依存してしまって抜け出せなくなるんです。
表舞台ではキラキラしている世界にはこんな風に深い闇があるんですね。
でもきっと今日も何百万とするお酒を飲み交わし、埋まらない大きな穴を埋めようと沢山の人が夜の世界に消えていきます。
僕もきっと価値観や倫理観がずれているんだと思いますが、そんな僕でも関わってくれる人がいることは感謝しかありませんね。
自分を見失わずに、自分軸で生きるのに1番大事なのは自分の中で1つでも2つでも絶対変えない軸を作っておくことです。
僕の中でそれは「誰かの役に立つかどうか」「誰かを変えられる存在になれるかどうか」です。
例えば人間関係においても「誰かの役に立つかどうか」で関わるようにしてます。
こんなものは自己満足で良いんですよ。
自分の人生で一番長く関わるのは自分自身なので、自分の軸を決めて生きていくことで毎日が劇的に変わります。
もし毎日辛いなとか、ちょっとしたことで苦しいなって感じる人は他人との向き合い方じゃなくて自分との向き合い方を検討してみてはいかがでしょうか。
【3杯目】凄い女上司のおはなし その①
今回はホストを辞めてからのお話。
実は現役時代も相当しんどかったけれど、辞めてからの方がもっとしんどかったっていう...。
辞めたホストの末路
水商売を辞めてから僕は様々な職に就きました。
もちろん学歴なんてものは持ち合わせておらず、できる仕事は限られていましたが、1番楽しかったのは、不動産の営業です。
ちなみに、水商売を辞めた人で不動産の営業マンになる人多いです。
やっぱり実力でのし上がる的なシステムが好きなんだろうな(適当)
不動産の営業にも色々あるのですが、僕は家や土地の売買を専門に扱っていました。
なぜ売買専門なのか
なぜ売買にこだわったのかというと、誰かの人生の記憶に残る人間でいたいと思っていたから。
マイホームの購入なんて一生に1度あるかないか。
そんな重要な場面を任せてもらえるなんて、なんて素敵な仕事なんだと。
絶対に不動産の営業マンになると決めた。
なにがわからないのかわからない
そもそも水商売とコンビニのバイトしかしたことのない僕には就職する方法が解らない。
履歴書はわかるけれど...しょくむけいれきしょ…?職務???
スマホなんて便利なものはない。調べようにもどうやって調べればよいのかがわかりませんでした。
職安というものがあるらしいので、とりあえず職安に行ってみる。
職安の受付のおじさんに聞こう。
「就職したいのですが、しょくむけいれきしょってどこでもらえるんですか?」
「もらうものではないですね。履歴書と同じように自分の職についての経験を書くものです。」
なるほど!なんて優しいおじさん。
書き方も教えてもらって完成した職務経歴書には
[新宿区歌舞伎町club〇〇にてNo2の売上を達成]
と堂々と書かれていました。
むしろそれしかない。このカードで戦うしかなかったんです。
面接まで手配してくれた職安の人には感謝しつつ、早速面接に行くのですが、スーツがない。
いやあるのだけれど。
ギラギラしてシュッとしたスーツしかない。
靴もない。
いやあるのだけれど。
ツンツンのトンガリでテラテラ光るやつしかない。
とりあえずスーツは1番テラテラしていないお気に入りの
ジョンローレンスサリバン
靴は安いものを買おう。
この時完全に忘れていました。
髪の毛が長いことを。
そもそも髪を切るという発想もありませんでした。なんせ常識がないので。
ロン毛で挑む面接。
人はあまりにもドン引きすると逆に笑顔になる
面接当日僕は30分も早く会社に着いてしまい、ひたすらイメトレしながら待っていました。
話す事には自信があったので、正直楽勝だなって。
受付の女性に案内されて、社長がいるという会議室らしき部屋に入る。
もちろんノックはしない、知らない。
社長らしき人物が( ゚Д゚)←こんな顏で僕を見て一言。
「入るときはノックせい。」
初見で怒られちゃいました。
でもここは百戦錬磨な僕なので余裕で
「ですよね!僕もそう思ってました!!!ノックしてきます!」
と余裕の笑顔。
「もうええで座りや?」
「…はい、すません(すみませんの意)」
そんなこんなで面接が始まり、まー喋る喋る、ひたすらしゃべるんんですよ、僕が。もう必死。
でも優しく聞いてくれて、まるで子供を見るような目で僕のことを見てくる社長が嬉しくて、まー喋る。呼吸忘れたんじゃないかってくらい喋っていた覚えがあります。
これは今よくよく考えると社長完全に引いてましたね。
人はドン引きすると逆に笑顔になるんですね。
面接の結果は…?
僕の中で合格を確信していた面接はもちろん(?)合格ですぐにきても良いよ、とのこと。
20代半ばにして初めての社会人。
もちろんスーツはジョンローレンスサリバン。
靴もたまにトンガリます。
歌舞伎町ナンバー2の男は不動産業界でもナンバー2を取る事ができるのか。
続きます。
【2杯目】水商売という独特な世界で生きていくには
今日は水商売という命がけの戦場で生き抜いてきた経験から学んだ、ほんの少し役に立つことをお伝えしようと思います。
水商売は命がけ?
水商売って経験したことがないと、わからない事が沢山あります。
かといって経験しなければいけない事でもありません。
経験していたら、役に立つこと多いなー…と感じる事はありました。
ただ「切った張ったの世界」なのでリスクは多いですし、何も得る事なくただお酒と人間関係に苦しんで辞めていく人が8割くらいです。
その中で生き残るには強靭な精神を持っているか、狂人である必要があるのかなと感じています。
それでは月に800万円という売り上げでNo.2であった僕が心がけていたことを紹介していきます(ほぼ忘れてますが)
ちなみに800万円の売上というのは、ホストクラブであればコンスタントに毎月あげていれば
「まぁまぁ頑張ってるよね」
という金額です。
本当バグってますよね。
話を戻して、大切な心がけです。
基本的に信用すること
夜の世界を経験すると人間不信になる。なんて言葉をよく聞きます。
欲望をお金に変える世界なので、個人的には人間の本性や悪い部分が出てきてしまうのかなと思っています。
確かに同じお店に所属するスタッフは全員ライバルですし、来てくれるお客さんも皆が良い人とは限りません。
そんな中で他人に心を許してしまうと、裏切られると感じてしまうのかなと。
人間は得をすることより、損をすることに対して敏感になってしまう生き物なので、特に毎日ギリギリの精神状態で生きている夜の世界の人達はより過敏になってしまうのではないかなと感じます。
その中で、人を信用することが何故重要なのかと言うと。
基本的にホストは信用されないからです。
恋愛感情をお金に変える…なんて営業方法があるくらいなので、信用されなくて当たり前なのですが
「自分達が信用されないから、誰も信用しません!!」
なんて人間に対してキラキラしたもの感じますか?
感じませんよね。
僕はホストの仕事はお客さんに、夢のような時間を過ごしてもらうことだと思っているので、そんなリアルな汚い現実いらないと感じていました。
夢の中なので「非」日常でないとダメじゃないですか。
ホストクラブに高いお金を払ってお酒飲みに来ている人は、日常を求めてなんかいないんですよ。
「無条件に愛されたい」「愚痴でも何でも黙って聞いてくれる人が欲しい」「自分を認めて欲しい」「死ぬほどチヤホヤされたい」などなど。
そんな感情を持ってお店に来るんです。
だから僕らはその人が求める最適な人を演じる必要があるんです。
その中で、ホストが個人的に人間不信だなんて感情は不純物なんです。
「じゃあ信じているフリをすればいいのでは?」
とも思いましたが、ホストクラブっていうのはスタッフとお客さんの距離感が近いですし、過ごす時間も長いんです。
フリだけでは絶対にボロが出るので、とにかく信じること。
それを意識していました。
別に裏切られても、嘘をつかれてもいいんですよね。
夢を見てもらう為には僕らもある程度、正直ではないので。
それに対価が大きすぎるので、裏切られて傷つけられるなんてそれくらいのリスクは当たり前なんです。
例えばホストクラブには未収、売掛という支払いの制度があります。
飲み屋のツケのようなもので、お客さんがお会計をその場で支払うことができない場合に後から持ってくる約束をするだけで、すぐに支払わなくてよくなる制度です。
書面を交わすお店もありますが、僕がいたお店はただの口約束のみでした。
もちろん支払いが無効になっているわけではないので、支払われなかった場合はそのお客さんが指名していたホストがお店に支払うことになります。
めちゃくちゃ怖くないですか?
支払いをせずに、逃げてしまうことを「未収を飛ぶ」とか「売掛を飛ばれる」なんて表現をするのですが、最初から飛ぶ気で飲みに行くこともできるんです。
だからクレイジーなお客さんはお金持ちの「フリ」をして飲みに来る人が多いです。
ある程度、ベテランのホストであれば「フリ」に気付く事ができるのですが、新人でしかもまだ売れていないホストの子達は売れたくて焦っているし、知識や経験もないのでそんなクレイジーなお客さんに騙されてしまうんですね。
騙されてお金を払えずに消えていった子は何人も見てきました。
恐ろしい世界です。
だからこそ信じることを諦めてはダメなんです。
人間不信になって疑う気持ちしか持たなくなると、クレイジーな人が来た時も普通のお客さんが来た時も同じように疑ってしまって、針の孔のようなチャンスを棒に振ってしまうんです。
疑うことで越えられない壁を作って自分を守るのではなく、知識や経験という開けられる柵で自分を守る必要があるんです。
そうしないとお客さんは寄ってきてくれないし、もちろん自分のことを指名なんてしてくれません。
人を疑ってばかりの人間に魅力を感じることはないですから。
隠しきれるのであれば話は別ですが。
なぜ信じることが大事と感じたかと言うと。
すぐにできることだったからです。
例えば沢山の人に愛される容姿になることや、人を夢見心地にさせる楽しい話術なんて簡単には身につきませんよね。
そんな中自分の中の武器を色々考えた結果、思考回路を変えることが一番簡単ですぐできると思ったんです。
「物は考えよう」
とはよくできた言葉で、何かあっても頭の中で考え方を変えることができれば大概の事はなんとかなるんですよね。不思議な事に。
だから「人を信じる」または「信じようと努力する」ことが大事だなって思っていました。
自分を好きでいること
自分のことは好きですか?また自分に産まれたいって思いますか?
ほとんどの人が「NO」だったり「わからない」と言うでしょう。
日本人は謙遜することが美徳と感じる人が多いので、特に。
ただ水商売ではこれは致命傷になりかねません。
自分の全てが商品なので、自分のことが嫌いな人は、自分が嫌いな商品を売りつけようとしていることになってしまいます。
「この水不味いし、栄養もないし、肌も荒れますー…」
なんて水を買う人います?
別にナルシストでいる必要はないですが、瞬間瞬間で自分を好きでいればいいんです。
「今日は何かカッコいいな」とか「今はちょっと面白い話ができた」
なんて具合に自分を認める事が大事です。
謙遜なんてしてる場合じゃないんですよね。
自分を責めても誰も助けてなんかくれないんですよ。
産まれてから、最後に死ぬまで付き合っていくのは自分だけなんです。
1番そばにいる自分自身が、自分の事好きでいなかったら誰に好かれるんですか。
「自分なんて…」って自分を責めているのは結局傷つくことから逃げて、他人を拒絶して傷つけている被害者ぶった加害者。
…なんて事を、毎日自分に言い聞かせていた気がします。
自分が好きじゃないものを相手に勧めて、対価を得ようなんてすごく失礼な話ですから。
まあ一種のプロ意識のようなものですよね。
相応の対価を得ようと思ったら、一流以上のプロ意識を持っていないとダメですよね。
今日のまとめ
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信用できなくて苦しいと感じたら感じ方、思考回路、視点を変えてみる
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自分大好き!って気持ちを少しは持つ努力をする。
こうやって書きたい事をその場のノリで適当にガーっと書いていきます。
読みづらい点やぐちゃぐちゃなところあるかもしれないですが、少しずつ工夫して読みやすいようにしていこうと考えています。
ご質問やご意見があればお気軽にコメントしてくださいね。
【1杯目】最初のおはなし。
皆様はじめまして。
はじめまして。まともに学校も行かず、17歳で夜の世界に飛び込み、元歌舞伎町でホームレス➡6年間No.2ホストだった男です。
No.1という輝かしい過去の栄光を振りかざしておきたいところですが、残念ながらNo.2です。
今は普通?に結婚して2児のパパとして毎日特に不自由もなく普通のお父さんしています。
仕事は普通のサラリーマンにwebライターをしています。
何を書くか。
ブログなので、テーマが必要ですよね。
ただの育児ブログになっても面白くないと思うので、僕が歌舞伎町で出会った不思議な人達、感じたこと、学んだことを皆様と共有しようと思っています。
例えば
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恋愛のプロから学ぶコツ
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人たらしのプロから学ぶ幸せな人たらし
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水商売のお金事情、リアルな裏側
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水商売であったヤバい経験
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今普通のパパになって日々何を感じているか
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何があっても強く生きるコツ
等々、書いていこうと思います。多分そのうちどんどん増えます。
本当に色々な経験ができたけれど、過去になにがあっても今生きているという事実がとても重要なことだと思っています。
ですが、過去に経験したことは僕の一部でもあるので、こうやって忘れないようにブログとして記録に残しておきます。
何か水商売関係のことなどで、ご質問やご希望のお話などあればお気軽にコメントください。